
梅雨や夏が終わると「除湿機はしまっていいかな」と思いがちですが、実は秋から冬こそ除湿機の出番が多い家庭も少なくありません。外に洗濯物を干しにくい日が続く、窓に結露がびっしり付く、クローゼットがなんとなくカビ臭い……。
ただ、除湿機は方式によって得意な季節がまったく違う家電です。夏に買った除湿機を冬に使ったら「思ったより水が溜まらない」、逆に冬向けのものを夏に使ったら「部屋が暑い」ということが起こります。
この記事では、パナソニックやシャープの公式サイトに載っている仕様と解説をもとに、秋冬の部屋干し・結露対策の目線で除湿機の選び方を6つのポイントに分けてまとめました。わが家でも衣類除湿機を毎日使っているので、そのときに気づいた点もあわせてお伝えします。
※この記事には広告リンクを含みます。価格や在庫は変わるため、購入前に各ショップでご確認ください。
除湿機の選び方は「方式」から決める

除湿能力(L/日)や価格を比べる前に、まず決めたいのが除湿方式です。パナソニックの解説によると、家庭用の除湿機の方式には主に次のものがあります。
| 方式 | しくみ | 得意な季節・場面 |
|---|---|---|
| コンプレッサー | 空気を冷やして湿気を水滴にする(エアコンの除湿と同じ) | 梅雨〜夏の高温多湿 |
| デシカント | 乾燥剤に湿気を吸わせ、ヒーターで温めて回収する | 冬・寒い時期 |
| ハイブリッド | コンプレッサーとデシカントを組み合わせる | 一年中 |
| エコ・ハイブリッド | コンプレッサーと空冷除湿の2つの冷却機構(パナソニック独自) | 一年中・省エネ重視 |
| ペルチェ | ペルチェ素子で冷やして結露させる | 靴箱・クローゼットなど狭い場所 |
コンプレッサー方式:夏に強く、電気代が安い
コンプレッサー方式は、湿った空気を冷却器で冷やし、湿気を水滴にしてタンクに集める方式です。ヒーターを使わないので消費電力が低く、パナソニックはメリットとして「夏場の電気代を抑えられる」「部屋の温度上昇が少ない」を挙げています。
一方で、冷やして結露させる仕組みのため、一般に気温が低い時期は除湿量が落ちやすいとされます。パナソニックの選び方ページでも、コンプレッサー方式は「梅雨〜夏の高温多湿の時期に除湿能力を発揮する」と説明されています。
デシカント方式:冬に強いが、部屋が暖まる
デシカント方式は「デシカント素子」という乾燥剤に湿気を吸着させ、ヒーターで温めて水分を放出し、熱交換器で結露させて回収します。 ヒーターで暖かい空気を作るので、寒い時期でも除湿性能が安定しやすいのが強みです。パナソニックも「冬の結露対策や、冬場の部屋干しに使いたい」人に向くとしています。
コンプレッサーがない分、軽量・コンパクトなのもメリットです。 その代わりヒーターを使うため消費電力は大きくなり、運転中は部屋が暖まります。冬はこれがむしろありがたいのですが、夏に使うと暑さを感じやすくなります。
ハイブリッド方式・エコ・ハイブリッド方式:一年中使いたい人向け
ハイブリッド方式はコンプレッサーとデシカントを組み合わせ、気温の影響を受けにくく一年中パワフルに除湿できる方式です。パナソニックは2005年に世界初のハイブリッド方式を開発したとしています。
エコ・ハイブリッド方式は、パナソニックが2024年に開発した方式で、コンプレッサー方式と空冷除湿方式の2つの冷却機構で除湿します。従来品と比べて衣類乾燥・速乾モードの消費電力を約69%削減したとしていますが、ただし乾燥時間は長くなると注記されています。 たとえばF-YEX120Bは約2kgの衣類乾燥で消費電力量312Wh・約90分、従来品F-YHVX120は885Wh・約75分です。
秋冬メインならどれを選ぶ?
- 冬の結露・冬の部屋干しが一番の目的 → デシカント方式、またはハイブリッド系
- 梅雨〜夏の湿気・カビ対策がメイン → コンプレッサー方式
- 一年中、部屋干しに使う → ハイブリッド方式 / エコ・ハイブリッド方式
- 靴箱やクローゼットだけ除湿したい → ペルチェ式などの小型機
すでにコンプレッサー方式を持っている家庭が「冬に効きが悪い」と感じるなら、方式の違いが原因のことが多いので、寒い部屋用にデシカント方式の小型機を足すのもひとつの考え方です。
除湿能力と畳数の見方|カタログの数字は「27℃・60%」の値

除湿能力は「1日あたりに取れる水の量(L/日)」で表されます。パナソニックが示している部屋の広さの目安は次のとおりです。
| 1日当たりの除湿量 | 木造住宅 | 鉄筋住宅 |
|---|---|---|
| 4.5〜6.3L | 6〜8畳未満 | 13〜16畳未満 |
| 6.3〜8.0L | 8〜10畳未満 | 16〜20畳未満 |
| 8.0〜11.0L | 10〜14畳未満 | 20〜28畳未満 |
| 11.0〜18.0L | 14〜23畳未満 | 28〜45畳未満 |
同じ除湿能力でも、木造は鉄筋の半分くらいの広さが目安になっています。木造の家に住んでいる場合は、「鉄筋○畳」の大きい数字だけを見て選ばないように注意しましょう。
ここで知っておきたいのが、カタログの除湿能力は「室温27℃・相対湿度60%」で測った値だということです。シャープのCV-S71の仕様では、定格除湿能力6.3/7.1L/日(50Hz/60Hz)について「室温27℃、相対湿度60%を維持し続けたときの1日あたりの除湿量」と注記されています。 除湿可能面積の目安も、日本電機工業会規格(JEM1411)に基づく数値です。
つまり、冬の寒い部屋では、特にコンプレッサー方式はカタログどおりの水が取れないことがあります。秋冬に使うなら、目安より1ランク上の能力を選ぶか、冬に強い方式を選ぶと安心です。パナソニックも「すばやく除湿したい場合は、使用環境より除湿能力が高いものを選ぶと安心」としています。
部屋干しに使うなら「洗濯物の量」で選ぶ
部屋干しが主な目的なら、畳数より洗濯物の量で考えるほうが実用的です。パナソニックは1日1人分の洗濯物量の目安を約1.5kgとしています。 4人家族なら1日約6kgです。
また、衣類乾燥時間は日本電機工業会の自主基準(JEMA-HD090:2017)で測られていて、条件は「部屋の広さ6畳相当・室温20℃・湿度70%・洗濯物2kg相当」です。 除湿能力の27℃・60%とは別の条件なので、カタログの「乾燥時間」と「除湿能力」は分けて見ましょう。
電気代で選ぶ|1時間あたりを公式の数字で比べる

除湿機は長時間つけっぱなしにすることも多いので、電気代は大きな差になります。メーカー公式の仕様から、方式の違う3機種の数字を並べてみました(いずれも電力料金目安単価31円/kWhで計算された値)。
| 機種(方式) | 消費電力 | 電気代のめやす(1時間) | 衣類乾燥1回 |
|---|---|---|---|
| パナソニック F-YEX120B(エコ・ハイブリッド) | 205W(50Hz、速乾) | 約6.4円 | 約9.9円(速乾・約90分) |
| シャープ CV-S71(コンプレッサー) | 205W(50Hz、衣類乾燥) | 約6.4円 | 約17円(約167分) |
| パナソニック F-YZVXJ60(デシカント) | 280W(冬モード)/ 465W(速乾) | 約8.7円 / 約14.5円 | 約26.4円(速乾・約108分) |
仮に1日8時間・30日使うと、1時間6.4円なら約1,536円、8.7円なら約2,088円、14.5円なら約3,480円になります(筆者の試算。実際の電気代は契約している電力会社や使い方で変わります)。
パナソニックの選び方ページでも「ハイブリッド方式とデシカント方式は、ヒーターを使うので消費電力が大きくなります」とはっきり書かれています。 冬の結露対策でデシカント方式を選ぶ場合は、「部屋が暖まる分、暖房を少し弱められる」と考えると、電気代の印象が変わるかもしれません。
ちなみに、シャープは仕様ページで「除湿機はお部屋を冷やす機能はありません。むしろ運転中は熱を発生しますので温度が上がります」と注意書きしています。 コンプレッサー方式でも室温は少し上がるので、夏の暑さ対策にはエアコン、湿気対策には除湿機と、役割を分けて考えるのがおすすめです。
サイズ・重さ・タンク容量もチェック
除湿能力が高いモデルほど本体は大きく重くなります。公式の仕様で比べると差ははっきりしています。
- パナソニック F-YEX120B:質量13.0kg、タンク約3.2L
- シャープ CV-S71:質量約9.6kg、タンク約2.5L
- パナソニック F-YZVXJ60:質量6.0kg、タンク約2.0L
「1階の脱衣所でも2階の寝室でも使いたい」「クローゼットの前に動かしたい」なら、軽いモデルのほうが出番が増えます。パナソニックも、階をまたいで使うなら軽量コンパクトモデルがおすすめとしています。 逆に、ランドリールームに置きっぱなしにするなら、重さよりタンク容量や能力を優先したほうがラクです。
見落としがちなのが電源コードの長さと排水のしやすさです。パナソニックは全機種コード長約2.1mとしていて、浴室の前などコンセントから離れた場所で使うときに効いてきます。 毎日たくさん水が溜まる場所なら、ホースをつないで連続排水できるかも確認しておきましょう。シャープCV-S71も、市販のホース(内径15mm)で連続排水ができます。
秋冬の結露対策・部屋干しで効果を上げる使い方

冬の結露は、暖房で暖められた湿った空気が冷たい窓や壁で冷やされて水滴になることで起こります。除湿機で部屋の湿気を減らしておくと、結露の量を抑えやすくなります。
使い方で気をつけたいポイントは次のとおりです。
- 窓際やカーテンの近くに置く:結露しやすい場所の空気を優先して除湿する
- 洗濯物の真下・近くに置く:衣類乾燥の試験条件も「製品を洗濯物の下方に設置」で測られています
- 部屋のドアを閉める:除湿する空間を区切ると効率が上がる
- 使用可能温度を確認する:たとえばシャープCV-S71は4〜38℃です。寒すぎる部屋では使えない場合があります
- 加湿器と同じ部屋で同時に使わない:冬は乾燥対策で加湿器を使う家も多いので、部屋や時間帯を分ける
特に冬は「乾燥対策の加湿」と「結露対策の除湿」が同じ家の中でぶつかりがちです。寝室は加湿、北側の部屋やクローゼットは除湿、のように部屋ごとに役割を決めると失敗しにくくなります。
わが家で使っている除湿機と、関連記事
わが家ではランドリールームでエディオンオリジナルの衣類除湿機を使っています。横に広い送風口で洗濯物全体に風が当たるので、部屋干し派にはかなり便利です。詳しくはエディオン 除湿機 オリジナル ANG-CD-B2の口コミレビューにまとめています。
デシカント式の使い心地が気になる方は、パナソニック 除湿機 F-YZT60の口コミ・評判も参考になると思います。軽くて静か、という声が多かったモデルです。
乾燥まわりの家電ならアイロンいら~ず2の口コミ・評判、冬の電気代を抑える工夫なら充電式湯たんぽの選び方とおすすめ比較【2026年版】もあわせてどうぞ。冬の乾燥対策にはHAGOOGI加湿器のレビューも書いています。
方式別の代表機種(広告)
この記事で仕様を紹介した3機種のショップ検索リンクです。価格は時期やショップで変わるので、購入前に最新の価格と型番をご確認ください。
- パナソニック F-YEX120B(エコ・ハイブリッド):楽天市場で探す / Amazonで探す
- シャープ CV-S71(コンプレッサー):楽天市場で探す / Amazonで探す
- パナソニック F-YZVXJ60(デシカント):楽天市場で探す / Amazonで探す
よくある質問
除湿機は冬でも使える?
使えます。ただし方式によって効き方が違います。デシカント方式は寒い時期でも除湿性能が安定しやすく、冬の結露対策や部屋干しに向いています。 コンプレッサー方式は梅雨〜夏に能力を発揮する方式なので、冬は除湿量が少なく感じることがあります。
50Hzと60Hzで性能が違うのはなぜ?
一般に、コンプレッサーなどの回転数が電源の周波数で変わるためで、仕様表でも50Hz/60Hzで数字が分かれています。たとえばF-YEX120Bの定格除湿能力は50Hzで10.5L/日、60Hzで12.5L/日です。 東日本(50Hz)にお住まいの方は50Hzの欄を見ましょう。
除湿機とエアコンの除湿、どっちがいい?
部屋全体の湿度を下げつつ涼しくしたい夏はエアコンが向いています。一方、冬の結露対策や、脱衣所・ランドリールームなどエアコンのない場所の部屋干しには除湿機が便利です。除湿機は運転中に熱を出すので、部屋を冷やす目的には使えません。
電気代を抑えるコツは?
方式でいえば、ヒーターを使わないコンプレッサー方式やエコ・ハイブリッド方式のほうが1時間あたりの電気代は低めです。 使い方では、ドアを閉めて除湿する空間を小さくする、洗濯物の間隔をあけて風を通す、などが効きます。
まとめ|秋冬の除湿機は「方式」と「使う部屋」で決める
除湿機の選び方のポイントをおさらいします。
1. 方式:冬の結露・部屋干しならデシカントかハイブリッド系、夏メインならコンプレッサー 2. 除湿能力:カタログ値は27℃・60%の値。木造か鉄筋かで目安の畳数が違う 3. 洗濯物の量:1人1日約1.5kgを目安に、家族の人数で考える 4. 電気代:1時間あたりの電気代を仕様表で比べる。ヒーター式は高め 5. サイズ・重さ・タンク:持ち運ぶなら軽さ、置きっぱなしなら容量と連続排水 6. 使い方:窓際や洗濯物の近くに置き、加湿器とは部屋を分ける
秋冬は「結露」と「部屋干し」で湿気の悩みが増える季節です。いま使っている除湿機の方式を確認して、足りないところを補う1台を選んでみてください。
参考(公式情報)


